医者いらずという逸話があるほど栄養価が高いのが今回のテーマ『リンゴ』です。
リンゴについて根掘り葉掘りしていきましょうか!
リンゴの歴史について
リンゴの栽培品種は世界各地に無数に存在しています。しかしスーパーマーケット等でいつでも手に入るのはわずか20種類程度です。その20種類が、消費の90%を占めています。
リンゴは人類が初めて栽培した果物の一つで、ヨーロッパや北アメリカをはじめてとする温帯地方では、食べ物や飲み物として重宝されていました。
リンゴが皆様に愛される果物になる理由はたくさんあります。
- 長期保存がきく
- 長距離輸送が容易
- 世界各地の様々な環境に適用する(人々の努力)
- 栄養価が高い
- リンゴをモチーフにした広告等
リンゴは世界中の人々の生活に大きく貢献しています。
今日すべてのリンゴはカザフスタンの野生リンゴの子孫だというのが有力になっています。
リンゴが実る木は、およそ1200万年前に中国で誕生したリンゴ属に属します。リンゴ属の大半は低木や灌木(カンボク)です。バラ科の仲間で、花をつける最古の植物です。
果てしない時を超えて、私たちに届いているのですね!
リンゴほど素晴らしい特徴を持つ果実はありません。
皮はとても清潔なので、触れても手が汚れるどころか香りが残る。
味わい甘く、香りも姿も魅力的です。
まさに五感を一度に魅了します。ホントに素敵な果物です。
リンゴは芸術や音楽、神話、民間伝承、詩など文学や絵画の世界で創造を促す起爆剤となり、他の果物では想像できないほどの影響力を与えてきました。
ニュートンがリンゴの落下をきっかけに万有引力を見つけ出したことは有名な話ですし、キリスト教学者は、『禁断の果実』として取り上げたり、日本でもさまざまな童謡や歌詞に採用されたりしていますね。
とにかく、気の遠くなる歴史がリンゴにはあります。
世界各地の逸話は、別記事にて紹介したいと思います。
リンゴに関してはホントに多くのストーリーがあります。
リンゴが収穫されるまで
果樹は、木を植えたら樹勢が衰えるまで毎年実をつけます。果樹は自生する実のなる木のように何もせずに放っておいても実を付けることが可能です。ただ、実をつけているだけでは美味しい味は得ることが出来ません。
リンゴ栽培に適した環境は
- 平均気候が10℃前後の冷涼な気候
- 昼夜の温度差が大きい地域
しかし、自然環境が栽培適地というだけでは美味しいリンゴはできません。果実は、たくさんとれる「表年(オモテドシ)」とわずかしかとれない「裏年(ウラドシ)」が交互に来ると言われますが、毎年美味しく実らせるには、人間の手による栽培の工夫が必要不可欠です。
リンゴができるまでの1年をまとめました。
【冬】
- 樹木の整枝・剪定
リンゴ作りは冬から始まります。剪定には
- 実ったリンゴに必要な光をあてるため
- 病害虫発生の抑制
- 色づきを良くする
など収穫までを見越した重要な作業です。
【春】
- 樹木に栄養を与えるため堆肥や肥料を施す
- 授粉作業
- 良いリンゴを作るために花を摘み取る
- 大きなリンゴを作るため不要な実を摘み取る
リンゴは自分では授粉しない「他家結実(タカケツジツ)」という性質を持っています。授粉し実をつけるため他の品種の花粉を付けて授精させなければいけません。リンゴ畑には多品種のリンゴが植えてあります。授粉用には使えない組み合わせもあります。相性が大事なんですね!
授粉で活躍するのが体長1.0~1.5cmほどの、ミツバチより一回り小さい「マメコバチ」が躍動します。
ハチは生き物です。天気や気温が良くないと動くことがありません。14℃以下の低温や雨では巣から出れなくなってしまい授粉作業が滞ります。授粉の遅れが果実に大きな影響を及ぼすのは言うまでもありません。その時は、人工の授粉器を使用したり、授粉棒(綿棒のような作り)を使って人間が自ら授粉させます。
リンゴの花は自然のままにすべての花が咲くと木は花で埋め尽くされますが、リンゴ農家さん畑では満開に咲くことはありません。
開花してから散るまでの約10日の間に、中心にある花だけを残して他の花は摘み取ってしまうからです。「摘花(テキカ)」とよばれる作業です。
すべての花に実をつけてしまうと小さいリンゴとなってしまい、おいしいリンゴに育たなくためです。また翌年の育生にも影響が出てきます。
6月ごろに入ると、摘花作業に続いて不要な実(大きくならない実や傷んだ実など)を摘み取る「摘果(テキカ)」が行われます。摘花のように、中心の実を残して3~5株に1つの果実をならせ、他は摘み取ります。「実すぐり」とも言います。
摘果は、品質の良いリンゴにするためだけでなく、樹勢を維持するためにも必要な作業となります。
【夏】
- 着色をよくするために実に袋をかける
害虫除け・着色を良くすること・貯蔵性を高くするために行われます。これを有袋栽培といい、袋をかけない方法の無袋栽培もあります。品質によっては一重袋、二重袋があり、袋の色も青、紫、黄色と農家さんによって使い分けてます。
また、台風に備えて防風ネットの設置も大事です。台風による果皮の傷や落果の被害を防ぐためです。自然が相手です。事前にできることはしっかりとした準備が必要となります。
【秋】
- 収穫
- 選果・出荷
待ちに待った、実りの秋です!
農家さんのたゆまぬ努力と愛情で育ててきたリンゴ。
ほんとにありがとうございます!!
リンゴと健康
『リンゴは医者いらず』と冒頭にも書きましたが・・・
残念ながら必ずしもそうではありません。ヨーロッパでは数世紀にわたり、生のリンゴを食べるとほぼ確実に医者にかかる羽目になったそうです。
ただ、その言葉に負けないぐらい栄養価が抜群に高いです!
リンゴは皮つきと皮むきで栄養成分が変わります。
皮つき | 皮むき | |
・エネルギー | 61 【kcal】 | 57 【kcal】 |
・カリウム | 120 【mg】 | 120 【mg】 |
・カルシウム | 4 【mg】 | 3 【mg】 |
・リン | 12 【mg】 | 12 【mg】 |
・水分 | 83.1【g】 | 84.1【g】 |
・タンパク質 | 0.2 【g】 | 0.1 【g】 |
・脂質 | 0.3 【g】 | 0.2 【g】 |
・灰分(カイブン) | 0.2 【g】 | 0.2 【g】 |
・炭水化物 | 16.2【g】 | 15.5【g】 |
・ビタミンC | 6 【mg】 | 4 【mg】 |
・鉄 | 0.1 【mg】 | 0.1 【mg】 |
・β-カロテン | 12 【μg】 | 12 【μg】 |
・食物繊維 | 1.9 【g】 | 1.4 【g】 |
水溶性 | 0.5 【g】 | 0.4 【g】 |
不溶性 | 1.4 【g】 | 1.0 【g】 |
・亜鉛 | 0.1【g】 | Tr【g】 |
- ※リンゴ可食部100gあたりの栄養成分
- ※日本食品標準成分表2018による
- ※Tr(トレース)食品成分表の最小記載量の1/10未満または不検出
リンゴポリフェノール
からだを酸化させて老化をすすめる活性酸素を撃退してくれのがポリフェノールです。リンゴにはポリフェノール成分が多くふくまれていることからリンゴポリフェノールと言われ、動脈硬化の抑制、花粉症などのアレルギー症状を抑制する作用などがあります。
リンゴペクチン
水溶性食物繊維で、便通をよくし、腸をキレイもしてくれます。ペクチンは糖質を吸収するので、糖尿病の血糖値を下げる働きがあると言われています。
高血圧の抑制と血中コレステロールを低下させます。
カリウム
果物の中でカリウムが多く含まれているのがリンゴです。カリウムは体内の余分なナトリウムを体外してくれる作用があり、高血圧の上昇を防ぎます。
有機酸
疲労の原因となる乳酸を減らし、身体のエネルギーを作ります。
三大栄養素、炭水化物、脂質、タンパク質を体内に吸収する。肩こり、腰痛防止に効果があります。
厚労省では1日350gの野菜をとることを推奨し、「くだもののある食生活推進全国協議会」では1日200gの果物をとることを奨めています。
大きめのリンゴ1個で300~400gありますから、大きいリンゴ半分でカバーできる計算になってます。
おいしいリンゴの見分け方
①つるが太いもの
つる割れしていても味に変わりはありません。
②くぼみが深いもの
つるの付け根が形よく深くくぼんでいるもの
③重みがあり、かたい
リンゴは収穫後も呼吸しています。成分の約85%が水分なので、水分が蒸発すると軽くなります。長時間放っておくと水分が抜けて味が薄くなり、果肉が柔らかくなり、酸化が進みます。
④つやが良い
糖度が高く蜜が入っています。蜜が入るのは完熟した証です。蜜は日がたつとどんどん広がり、いっぱいになると味が失われます。
⑤おしりまで赤い
⑥表皮にべたつきがある
このような現象がみられるリンゴがあります。これは「油あがり」といい、熟している証拠です。「ジョナゴールド」「つがる」「千秋」などにみられます。
皮に傷があっても味自体に変わりはありません。
最後に ~りんごとは~
最後までご覧いただきありがとうございます。皆様はどう感じたでしょうか?
とても私たちの生活に密接な果物です。
リンゴは古くから多くの人々に愛されて今世まで受け継がれていきました。
そもそも需要のないものならどこかで無くなるはずですからね。
この果実との出会いに感謝したいです。
また、生産者に関わるすべての物、生産者様のたゆまぬ情熱に感謝です。
この素晴らしい果実がずっと皆様に愛されますように。
みなさま、リンゴを食べるときは全てに感謝しましょう。この果物との出会いはそれほどの価値があります。