皆さん『アンズ』と聞くと何をイメージしますか?
実はアンズの種と杏仁豆腐には関係が・・・。
今回は『アンズ』についてみていきましょう。
アンズとは
アンズの原産地は、中央アジアから中国を中心としたアジア東部です。
近縁種のウメやスモモとも交雑し、杏梅、李梅などの自然交雑品種もあります。
中国では、非常に古くから生食、加工に利用され、種子は杏仁(きょうにん・あんにん 生薬名:きょうにん 中国語:しんれん)として薬用にされてきました。
杏仁にはオイル成分が含まれ化粧品原料としても使われています。
主要な生産国はトルコ・イタリア・パキスタン・フランス・スペイン・アメリカ・モロッコなどです。トルコでは大部分がカリフォルニア州で生産され、缶詰、果汁、ドライフルーツ、冷凍果実など加工向けが多くなってます。
吉田雅夫(1984年 農業技術大系果樹編)によれば、アンズは、ウメやモモと同じように古い時代に中国からわが国に渡来しました。平安時代の『本草和名』(918年)や『和名類種妙聚妙』(931~938年)では杏にカラモモの和名をあてていることからすれば、この時代までには薬用として杏仁が入り、栽培されていたものと思われます。菊池秋雄にとれば、アンズは11世紀ごろから栽培されたが、一般に普及するほどではなかったそうです。江戸時代には、学術名にカラモモを、俗称にアンズを使っているが、杏仁をアンニンと呼んでいることから、アンズの名称はかなり古くから使用されていたと思われます。
生産量が多いのは長野県、次いで青森県、広島県、福島県です。長野県では青果用が多く、加工向けは全体の4分の1となってます。青森県では大部分が加工用です。当初の利用は薬用の杏仁生産が中心ですが、現在では、干しアンズ、シロップ漬け、缶詰、ジャムなどに利用されています。青森県では、漬け物であるしそ巻きアンズの利用が多くなってます。長野県では善光寺平(長野盆地)が栽培の中心で、特に更埴市森・倉科地区(現在 千曲市)は『あんずの里』として有名です。
アンズは生食用にはあまり適しませんが、酸味と香りがあり加工製品の品質は優秀であり、ジャム・シロップ漬け・干しアンズ・ジュース・あんず酒など多くの用途があります。
生食では甘味が少なく酸味が強いが、ジャムやシロップ漬けのように砂糖を加えると甘さと酸味が調和し、独特の香りがあるので、加工用果実として優れます。熟度と加工用途の関係では、硬めの果実はしそ巻きアンズによく、良く熟したものはジャムに適します。
その中間の熟度のものは、シロップ漬けに適します。
果実を2つ割りしたシロップ漬けには、果実の大きな品種が適します。ジャムには、香気の多い欧州種が適します。
品種について
【新潟大実】
果形は豊円で、大きさは50~70g、果実の色はあまりよくないが肉質はよく、シロップ漬け、ジャム、干しアンズなどに適します。豊産性で病気にも比較的強く栽培しやすい。
【平和】
果形は円形で、大きさは50~70g、果肉は橙色で酸味が強く加工用で、シロップ漬け、干しアンズなどに適します。裂果しやすく、病害にも弱い。
【山形3号】
果形は楕円形で、大きさ40~60g、果肉色は淡黄色で、酸味もきわめて多く、加工性は新潟大実うあ平和に比べ劣ります。裂果が少なく豊産性で、主として生果用である。
【宮坂】
果形は豊円で、大きさは50~70g、果肉色は淡黄色で、酸味は多く生食には適さないが、肉質は優れており、香気が多いことから、加工には適する。
【信州大実】
果形は円形で、大きさはきわめて大きく100gを超すこともあります。果肉色は橙色で、酸味はやや多いが、糖度の高い果実は生食も可能である。シロップ漬けに適する。
【信山丸】
果形は短楕円形で、大きさは30gである。丸アンズ加工用に選抜された品種で、除核しないで丸のまま加工するのでアンズ独特の杏仁の香りがする製品ができる。
【チルトン】
カリフォルニア州原産のヨーロッパアンズ。果形は短楕円から卵円形で、大きさは40gである。甘味が多く、酸味が少なく、香気があるので生食用に適する。
栽培法について
加工に適する品種を選定することが重要であり、特に、肉質が緻密で、果肉色が橙黄色で、香気が高いものが良いとされています。
アンズの収穫適期は用途によっても異なりますが、地色が全部橙黄色に変わり、アンズ特有の香気が出て果肉に弾力性のある頃が適期となってます。しかしこの期間は3~6日と短く、未熟果では酸味が強く、収穫が遅れると軟熟化しやすく品質や歩留りが低下します。適塾の果実は果肉と核の離れが容易であり、2つ割りがしやすい。少しでも日持ちを良くするためには早朝収穫を行うのが良い。
杏仁豆腐について
杏仁豆腐を作るときに必須な食材が『杏仁霜(きょうにんそう)』です。
アンズの種を圧縮すると、無色から淡黄色の透明な油が採れます。軟膏や香油または食用油などに用います。油を搾り取った残りを粉末にしたものが杏仁霜です。
アンズと健康
『アンズ』に主な成分をみていきましょう!
エネルギー | 36 【kcal】 |
水分 | 89.8 【g】 |
タンパク質 | 1.0 【g】 |
脂質 | 0.3 【g】 |
炭水化物 | 8.5 【g】 |
カリウム | 200 【mg】 |
ビタミンA※1 | 1500 【μg】 |
ビタミンE※2 | 17 【mg】 |
マンガン | 0.21 【g】 |
食物繊維総量 | 1.6 【g】 |
- ※生・可食部100gあたり
- ※1 β-カロテン当量
- ※2 α-トコフェロール
- ※日本食品標準成分表2018による
栄養成分の特徴
【カロテン】
フルーツのなかでは、カロテンの含有量が群を抜いています。
生ではピーマンより、干したものではほうれん草より多いです。
体内で強い抗酸化作用を発揮し、脳梗塞や心筋梗塞・老化の予防効果が期待されます。
【有機酸】
リンゴ酸やクエン酸などの有機酸を多く含み、食欲増進・便秘解消にも効果があります。
果肉に含まれるアミノ酸の一種であるギャバは脳のストレスを軽減し、リラックス効果があると期待されています。
機能性成分
アンズにはビタミンAが多く、温州ミカンに含まれるガン予防成分として有名なβ-プリプトキサンチン(カロテンの一種)も含まれます。ナトリウムに比べてカリウムが多く、高血圧予防に役立つことが期待できます。おなかの調子を整える食物繊維が多く、特に乾果では8.2gと非常に多いのが特徴となってます。
種子(杏仁)は咳、喘息に効用が認められるが、青酸配糖体(アミグダリン)を含むので注意が必要です。
アンズの見分け方
アケビを選ぶポイントは
- 皮にハリ・ツヤがある
- ふっくらとまるいもの
- 全体的に鮮やかなオレンジ色
- 表面うぶ毛が生えそろっているもの
食べ頃
〇ほんのりアンズの香りが漂ってきたら、熟している証拠です。完熟後は日持ちしないため、早めに食べましょう!
保存法
〇熟したものは傷みやすいので、冷蔵庫の野菜室に保存します。
※フレッシュさを味わえるのは収穫後長くても3~4日くらいまで
最後に~アンズとは~
杏仁豆腐の『杏』は読んで字のごとく、アンズと関係があったのですね!
アンズがカロテンが豊富なので、アンチエイジングできますね!
ただ、干しアンズに関してはエネルギーが多いため、食べ過ぎには注意してくださいね!
今回の記事を通して、アンズに興味を持って頂けたら嬉しいです!
最後までご覧いただきありがとうございました。